冬の釣りと言えば、氷上のワカサギを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
筆者が初めてワカサギ釣りをした約25年前、ワカサギテントなどという代物はほとんどなく、寒空の中じっと椅子に座って魚信を待つ苦行ともいえるものでした。
今では、各釣り具メーカーやアウトドアブランドから、氷上でも暖かく過ごせるワカサギテントが販売されていて、凍えながらワカサギ釣りをすることはなくなりました。
また、管理されたワカサギ釣り場も増えていることもあり、より気軽に楽しめるようにもなっています。
そこで、ワカサギ釣り場でテントの設営やメンテナンスを行っていた元ワカサギ釣り場のスタッフだった筆者が、氷上でよく見かける人気のワカサギ釣り用テント3種を比較し、それぞれの特徴を詳しく紹介します。これからテントの購入を検討している方に役立つ情報をお届けします。
ワカサギテントの特徴
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ワカサギテントは、見た目的にキャンプ用のテントとあまり変わらいように感じる方もいるかもしれませんが、冬の氷上という過酷な環境の中でスムーズに設営できるように様々な工夫が施されています。
まずは、ワカサギテントの特徴について解説していきます。
設営と撤収が早い
ワカサギテントは、ワンタッチ式やそれに近い状態で設営できるものが多く、キャンプ用のテントのようにポールを繋いだりする手間が掛からないので早ければ10分も掛からずに設営できるものもあります。
もちろんペグを撃ち込んだりする必要はありますが、それ以外は広げるだけで簡単に設営できるものも多く、設営と撤収に時間が掛からないのが特徴です。
気密性が高い
ワカサギテントは直接外気が入らないように外側にスカートが付いていて、内側にもスカートが付いているものも多くあります。このスカートは、気密性を高めるためだけではなく、雪を乗せてテントの安定性を保つのにも役立っていて、キャンプ用のテントに付いているスカートよりも幅が広くなっています。
採光性が高い
ワカサギテントは寒い冬の氷上で行う釣りなので、光を取り入れることによって外気よりもテントの中も暖かくなりやすいよう明るい色が多くなっています。また、小さなハリに餌を付けるなど細かい作業が多いワカサギ釣りには、テントの中が明るいのは非常に助かります。
人気のワカサギテント三種の使用感
人気のワカサギテント三種について、サイズ感や使い勝手、どのようなユーザーに向いているかなどの紹介をします。
コールマン アイスフィッシングシェルター オートL
コールマンのベストセラー商品アイスフィッシングシェルターオートLは「広い・早い・丈夫」の三拍子揃った非常に優れたワカサギテントで、現在販売されている多くのワカサギテントの中でどこの釣り場に行っても必ず見かける人気№1のワカサギテントです。
主なスペック
- 定価 57,800円
- 材質:スキン/150Dポリエステルタフタ(UVPRO、PU防水)
- サイズ:約300×300×160(h)cm
- 収納時サイズ:約φ28×118cm
- 付属品 ペグ、ロープ、キャリーバッグ
- 重量:約10.0kg
- 仕様:4面ドア、ベンチレーション、メッシュウィンドウ、メッシュポケット、ストームガード、スカート、クリアウィンド
- 収容可能人数:5~6名
- 耐水圧:不明
テントの材質
テント生地に使われている材質のポリエステルタフタという素材は、硬いサテン生地のような触り心地で、滑りがよく雪の日でも軽く揺すってあげるだけで雪落としができますし適度に厚みもあってかなり丈夫な生地です。
テントの広さ
設営時のサイズは最大幅3mで、高さが160㎝と天井があまり高くないので人によってはあまり広さを感じないですが、ワカサギ釣りは座ってするものですし天井が高いテントは暖房効率が悪いので天井の高さはあまり高くない方が暖かいです。
人数でいうと大人5人でワカサギ釣りをしても、それぞれが十分な広さで釣り座を構えることができます。荷物などを入れたり二刀流で釣る場合は4人以下がベスト。
また、一度座ってしまうとトイレなどで外に出る時にテント内の移動が結構不便なワカサギテントですが、コールマン アイスフィッシングシェルターオートLは出入り口が四つあるので常に自分の釣り座の近くから出入りができるところが非常に便利です。
設営のしやすさ
ワンタッチ式テントの代表格であるコールマン アイスフィッシングシェルターは、ガス圧式のワンタッチ機構が付いていて、力仕事も多い設営時のサポートをしてくれるテントです。
非常に楽に設営できるイメージですが、実際には天井部分のストームガードを取り付けたり、テント内の一番高い部分からテントが閉じてしまわないようにストッパーを取り付ける必要があるため、簡単楽チン設営というわけにはいきません。
設営自体は難しくありませんが、コールマンアイスフィッシングシェルターを初めて使う方は、前もって自宅などで試し張りをしておくことをお勧めします。
- 設営のしやすさ ★★★☆☆
- 運びやすさ ★★★☆☆
- 広さ ★★★★★
- 耐久性 ★★★★★
使いやすさなどは好みによって意見が分かれるところですが、ファミリーはもちろん友人とのグループフィッシングなどで特に大活躍するワカサギテントです。
コールマンアイスフィッシングシェルターは非常にタフなテントで、大事に長く使いたい人にとっては非常に頼りになるワカサギテントです。
▼コールマンアイスフィッシングシェルターLの使用感についてはこちらの記事もご参照ください。
DOD T5-244 ワンタッチフィッシングテント
出典:DOD
発売から数年経った今でも釣り場で多く見かけるワカサギテントで、人気の理由は設営の楽さと価格の安さで、何かと準備のための出費が多いワカサギアングラーにとっては非常にありがたいワカサギテントです。
主なスペック
- 定価 23,580円
- 材質:75Dポリエステル(PUコーティング)
- サイズ:W280×D240×H180cm
- 収納時サイズ:直径25×長さ135cm
- 付属品 ペグ、ロープ、ランタンメッシュシート、キャリーバッグ
- 重量:約7.4kg
- 仕様:凍結防止インナーポール構造 ベンチレーター スカート メッシュウィンドウ インナーポケット
- 収容可能人数:大人5名
- 耐水圧:1500mm
テントの材質
75Dポリエステルは一般的なテントに使われている素材で、コールマンアイスフィッシングシェルター程の屈強さは無いにしても、通常使用には十分耐えられる素材です。グラスファイバー製のポールは多少の風を受けても適度に撓んで力を分散してくれます。
テントの広さ
280㎝×240㎝と広さ的には申し分ないですが、公式の発表にある5人でのワカサギ釣りは不可能で、実質大人3人がベスト、ファミリーで使用する場合はお父さんとお母さんと子供2人といった使い方もできます。
設営のしやすさ
今回紹介する三種のワカサギテントの内設営方法が最もシンプルで、付属のひもを引きながら傘をさす要領でロックがかかるまで広げていくだけのワンタッチ仕様です。
他の三種に比べて軽くて持ち運びも楽ですが、華奢な作りの分強風時などの過酷な状況下での使用は設営時に破損のリスクがあるのでお勧めしません。平時での使用に関しては快適なワカサギ釣りが楽しめるテントです。
- 設営のしやすさ ★★★★★
- 運びやすさ ★★★★☆
- 広さ ★★☆☆☆
- 耐久性 ★★☆☆☆
プロックス クイックドームテント パオグラン ラージ
最大幅3mで高さが225㎝もある今回の記事で紹介している三種のテントの中で最も大きなサイズのワカサギテントです。
設営方法は独特で、フレームのハブから出る12箇所のループを外に引き出すだけで半球体型のテントが立ち上がります。ワンタッチ式ではないものの設営が非常に簡単で、一か所をペグダウンして先に固定しておけば一人でも設営できるほど簡単に立ち上がります。
主なスペック
- 定価 79,000円
- 材質:不明
- サイズ:W300×D300×H225cm
- 収納時サイズ:W35×D102×H35
- 付属品 ペグ、ロープ
- 重量:約12.5kg
- 仕様:スカート メッシュウィンドウ インナーポケット他
- 収容可能人数:大人5~6名
- 耐水圧:不明
テントの材質
素材は不明ですが撥水性の高い生地でかなり丈夫なので、一部分に強い力が掛かるような無理な設営さえ行わなければ破損することはありません。他のテント同様フレームが破損することはありますが、交換部品を取り寄せて自分で簡単に交換することができます。
テントの広さ
コールマンアイスフィッシングシェルターLとほぼ同サイズですが、壁がほぼ垂直なのと天井が2m以上あるのでコールマンアイスフィッシングシェルターLより広く感じます。
上部が薄いグレーで採光性の高く明るいため、見た目以上に広く感じます。
設営のしやすさ
ネーミングにもあるようにこのテントの最大の強みは簡単設営といっていいほどクイックな設営が可能です。撤収時はさらに早く畳むことができるので、天候不良などで撤収作業が難航する場合でも他のテントに比べて作業時間が短縮できます。
- 設営のしやすさ ★★★★★
- 運びやすさ ★★☆☆☆
- 広さ ★★★★☆
- 耐久性 ★★★☆☆
大型で広さのあるテントですが、その分フレームやハブなどの部品も大きいので重量は若干重めです。ファミリー向きというより友人同士で協力しながら運搬~設営を楽しむのに適したワカサギテントです。
プロックス クイックドームパオグランは4種類とサイズが豊富に展開されていて、さらに大きいサイズのビッグや、ラージでは大きすぎるという方には一回り小さいセミラージサイズがお勧めです。
▼クイックドームパオグランラージのサイズ感やその他のワカサギテントについてはこちらの記事もご参照ください。
強みは各テントによって様々
実際の釣り場での使用環境によって強みはそれぞれ違うので、自分に合った使い方ができるかで決めると失敗が少なくなります。
例えば、少人数でしか使用しないのに大きなテントを購入しても荷物の重量が増えるだけですし、ファミリーフィッシングなどでお父さんが一人で設営する場合などは重たいテントだったり設営が難しいテントだと大変ですから、見た目や価格だけで選ばず機能や使い勝手なども考慮して選びたいですね。
ワカサギテント使用時の注意点
ワカサギテントは寒い氷上のワカサギ釣りを快適にしてくれるありがたいアイテムですが、使い方を間違えると思わぬ事故を招くことがありますのでご注意ください。
ここでは、ワカサギテント使用時の注意事項の他、裏テクやあったら便利なアイテムなどを紹介します。
付属品で足りないものや使用に問題がないかチェックする
ワカサギテントは収納バッグやロープなどはテントに付属していてもハンマーはないものが多いので事前に調べておくと良いです。
特に、付属するペグは氷上では使い物にならないものが大半なので、頑丈な鉄製のペグなどの代用のものを用意しておいた方が良いでしょう。
ペグ打ち後もテントの固定が弱く不安定な場合は、レジ袋などに雪と水を混ぜたものを入れて打ち込んだペグの上に乗せておくと多少安定感が出るので機会があったら試してみてください。
強風時は無理をしない
ワカサギテントは昔に比べて風に強い多角形のテントが多くなってきましたが、暴風雪などの異常な気象条件下での設営は、テントの破損だけでなくテントが飛ばされてしまったりと他人に怪我ををさせてしまうような事故が起きてしまう可能性があるので、ワカサギ釣りをする際は目的地の風の状況などを事前に調べてから釣行しましょう。
一酸化炭素中毒に十分注意
太陽が出ている天気の良い日はテントの中も暖かくて気持ちの良いものですが、早朝や曇天や時は寒く感じることも多いので暖房を使用する方も多いと思います。
特に灯油ストーブは一酸化炭素の発生量が多く、過去には死亡事故も起きているので、暖房器具使用時は特に注意しましょう。
人気のワカサギテント三種を比較検証!まとめ
最近では海外製のユニークな形のテントも登場し氷上でもバラエティ溢れるテント群が見られるようになりました。
海外製のテントは頑丈なものも多くとても魅力的ですが、破損時の修理対応などの不安な一面もあるため、今回は国産の人気ワカサギテント三種について解説しました。
どれがお勧めということはありませんが、長年ワカサギ釣りを楽しみワカサギ釣り場スタッフの経験もある個人的意見としては
- 耐久性ならコールマン
- 価格ならDOD
- 広さと快適性ならプロックス
このような評価とさせていただきました。
今後も新作商品を中心にワカサギテントについての解説記事を書いていく予定ですので、是非自分に合ったワカサギテントをゲットしてください。
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