某Q&Aサイトで見ましたが、「渓流ルアーフィッシングに使うラインの太さはどのくらいが良いですか?」という質問に対し「4lb」という回答が多かったことに驚きました。
lbの強さをkgで換算すると、1lb=0.4535923kgで、4lb=1.814369kgとなります。
数字上では結構強いんだなという印象かもしれません。
しかし、日本のラインメーカーがパッケージに表記するlb数は、そのラインがどこまで耐えられるのかという意味ではなく「4lbの力が加わると切れる」つまり4lbが耐えられという意味ではなく、「4lbで確実に切れる」ということですから、場合によっては4lb以下の力でも切れることがあるということです。
地域によって魚のサイズや魚種、天然物や放流物などの違いもありますし、渓相や川へのプレッシャーなどといったフィールド環境の違いもあるでしょうが、そこまで細くする必要があるのかないのかという疑問について解説していきます。
4lbのラインの強さってどのくらい?
冒頭ですでに回答していますが、「4lb=1.814369kg」の強さは、あくまでも4lbの引きに耐えられる強さではなく、4lb近くの重さまでなら何とか切れずに持ち上げることができるけど、瞬間的に4lbの重さが加わった場合は確実に切れるということになります。
渓流トラウトで4lb以上の力が加わることってあるの?
実際に計測することは難しいですが、尺以下のトラウトならそこまでの力はないと思います。
しかし、川には流れがあり、フッキング後に下流に走られた場合は確実に魚の重量以上の力が掛かるため、流れに乗った状態で激しく暴れた時には瞬間的に4lb以上の力が加わることもあるでしょう。
普段から小渓流で15㎝くらいの小物しか釣っていない人なら関係のない話ですが、15㎝と25㎝を超える魚が引っ張る力はまるで別物ですし、ヤマメやニジマスなどの遊泳力の強い魚に川の流れの重さが加われば、4lb以上の力が加わることも想定されます。
たとえドラグ性能の良いリールで上手くいなして時間をかけて釣り上げたとしても、散々魚を走らてしまってはせっかくの良いポイントを潰しかねません。
北海道ではこんな小さな流れの中に40㎝を超えるトラウトが潜んでいることもよくあり、フッキング後に下流に走ることが多いニジマスなどは、4lb程度のラインではあっさり切られてしまいます。
あくまでも4lbは新品時での強度
ラインのの強度とは、あくまでも未使用時での話で、新品時は4lbくらいまでなら何とか頑張れるけど、「一日釣りをしていたら夕方にはそれ以下の強度まで落ちてしまうよね」ってことになります。
岩が多いポイントでは、根ズレによるラインの強度低下を起こすこともありますし、ナイロンラインだと日光の影響や水分を吸収するなどして劣化が進みます。
したがって、4lbの強度を保っていられる時間は、そう長くはありません。
劣化したラインの強度
4lb程度の強さのラインが劣化してさらに強度が下がった場合、スナップに結んだあと手で引っ張るだけで簡単に切れてしまいます。
そこまで劣化してしまったラインは、根掛かりの回収率が極端に落ちます。
大切なルアーをロストしてしまわないように、ある程度強さのあるラインを使用することと、劣化して切れる前にこまめなチェックを行いましょう。
渓流では4lbラインは実用性のある強さではない
4lbというラインの強さは実際の渓流では弱い方の部類に入り、熟練のベテランアングラーが慎重にやり取りしながら使用するラインの強さになります。
根掛かりやライントラブルなどでラインの傷みが早い初心者が、いきなり4lbなどといった細いラインで始めると、うまくいかないこともよくあります。
ラインの強さは、魚の引きに対するものだけではなく、障害物にも対応する必要があるため、場合によってはある程度の強さがないと釣りにならないようなこともあります。
太さに関係なく水中のラインは魚からは見えている
色が付いていようが透明であろうが、太さに関係なく魚からは水中のラインが見えているそうです。
細いラインの方が感度が良いのは確かですが、細いラインにしようが太いラインにしようが、魚にとっては全て見えているということになります。
管理釣り場では4lb以下は当たり前
管理釣り場では2lbとか3lbラインを使う人が多いですが、管理釣り場はほぼ止水ですし、渓流のように障害物に巻かれる心配はそれほど多くはないですから、ドラグを緩くして走らせて魚が疲れるまで待つことができます。
また、シジミの貝殻みたいな極小スプーンを投げるにはラインを細くしなければ飛距離は出ませんし、渓流のように岩がゴツゴツしていたり倒木や木の根が沈んでいたりするようなこともないでしょうから、2lbラインでも対応できるでしょう。
そして、管理釣り場のトラウトとネイティブトラウトは、パワーも瞬発力も全然違いますから、管理釣り場の感覚でラインの太さを決めるとネイティブトラウトでは痛い目に合うことがあります。
渓流で実用性のあるラインの強さは6lbから
6lbラインを号数で換算すると、ナイロンラインだと1.5号前後、PEラインだと0.4~0.6号がメインの太さになります。
4lbと6lbの使用感はそれほど大きな差はない
ナイロンラインだと水噛みの違いなども感じることもありますが、それほど釣果に影響するような差ではないです。
PEラインだとキャストフィーリング以外の差はほとんど分からないと思います。
キャストフィーリングについては、ラインの太さよりもラインの種類にこだわると良いでしょう。
色々使ってみてお気に入りのラインを見つけましょう!
細いラインのメリット
- 飛距離が出る
- ハイプレッシャーなフィールドで警戒心の強いトラウトに対応
- 軽いルアーでも動きが悪くならない
飛距離に関しては渓流のような狭いフィールドでも、飛ばせないより飛ばせるラインの方が有利です。
プレッシャーの高い河川では、ラインブレイクをしない程度にラインを細くした方がより食いが良いのは確かです。
ルアー本来の動きは、ラインが細い方がそのルアーの最大限のポテンシャルを引き出してくれるものですが、4lbも6lbもほとんど変わりはないでしょう。
PEラインの大きな利点
PEラインはナイロンやフロロに比べて強度が出しやすいラインなので、同じlb数でもナイロンより細いラインを使用することができます。
例えば、ナイロンラインの6lbだと太さは1.5号程度になりますが、一般的なPEラインの1.5号の強度は20lb以上です。
そのため、メインラインにPEラインを使用する場合は、ナイロンラインに比べて遥かに細い0.4~0.6号程度を使用することができ、飛距離やルアー操作において大きなアドバンテージとなります。
しかし、PEラインは、細くしすぎると逆にライントラブルが起きやすくなるといった欠点もあり、一度絡んでしまうと解くことができないほどひどい状態になることも多いです。
たとえ4lb以上の強度があるラインでも、0.2号や0.3号などといった極細のラインは使用しない方が良いでしょう。
初心者向けの渓流ルアーフィッシングにベストなラインの太さとlb数
最近の渓流ルアーフィッシングはPEラインが主流となりつつありますが、ここではPEラインとナイロンラインの両方を解説していきます。
初心者の方は若干オーバースペック気味のラインシステムをお勧めします。
ラインの強さはロッドの適合表記に合わせるのが基本
ロッドには、必ず適合するルアーウェイトとラインの強度が記載されています。
ほとんどのロッドは、多少のオーバースペックにも耐えられる性能を持っているものが多いですし、リールのドラグ機能を上手く使えばロッドに掛かる負担も軽減できます。
逆にアンダーする場合は、ガイド絡みやキャスト時の振り切れなどのライントラブルが発生してしまうこともあります。
初心者の方は、ルアーのロストを限りなく減らす意味でも、なるべく適合範囲の上限いっぱいか、若干のオーバースペック気味にするのが良いでしょう。
PEラインかナイロンラインのどちらを使うか迷っている方は以下の記事を参考にしてくださいね。

PEライン
小渓流や源流域などの大型魚があまり期待できず最大でも尺程度の魚が対象の場合は、根掛かりを外したり合わせ切れを防ぐ意味でも、PEライン0.4~0.6号(6~10lb)にショックリーダーはナイロン6~8lbを使用するのがベスト。
本流で40㎝を超えるようなサクラマスやニゴイが掛かるようなエリアや、北海道のネイティブトラウトが対象の場合は、PEライン0.6~0.8号(8~14lb)に、ショックリーダーの強度はナイロンフロロ共にメインラインと同等か若干低いものを選択しましょう。
バリバス スーパートラウトアドバンス ダブルクロスPE 0.6号/9.6lb
バリバス スーパートラウト アドバンス エクストリーム ショックリーダー ナイロン 1.5号/6lb
ナイロンライン
小渓流や源流域などの大型魚があまり期待できず、最大でも尺程度の魚が対象のポイントでは、5~8lbがベスト。
本流サクラマスなどの40㎝以上の大型のトラウトが掛かるエリアでは、ナイロン8~10lb程度か、場合によっては12lbまで上げても良いでしょう。
いずれも、リーダーは使用せずスナップに直結して使用します。
おすすめのナイロンライン
渓流ルアーフィッシングに使うラインの強さのまとめ
今回は、細いラインと太いラインのメリットやデメリットを交えて、4lbというラインの強さについて解説しました。
北海道でネイティブトラウトを楽しんでいることもあって、ラインの強度については他の地域に比べてオーバースペック気味な考え方かもしれません。
しかし、北海道以外の渓流でも大型のトラウトがいないわけではないですし、最近はミノーイング主体の釣りをされる方が多く、ロッドもそれに合わせた張りの強いものが多くなっています。
そのため、フッキング時の衝撃に対しても、ドラグ機能と併用しながらある程度の強度を持ったラインを使用することをお勧めします。
小さい魚を狙うのか大きい魚を狙うのかで考えれば、皆さんももちろん大きな魚を狙いたいでしょうから、細いラインで小さい魚を狙うよりは、大きな魚がいる所で安心してやり取りできる強さのラインを使って一発大物を狙った方が、満足度は高いのではないでしょうか。
管理釣り場については、ルールの範囲内で試行錯誤するのが楽しいわけですから細いラインになるのは当然ですが、ネイティブトラウトとは別物と捉えていただければと思います。

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