ハンドメイドミノーを三年間作り続けたアングラーがハンドメイドミノーの利点を改めて語ります

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10月下旬、2022年シーズン最後の渓流ルアーフィッシングに行ってきました。

北海道も10月に入ると産卵を終えた魚が多くなり、シビアなコンディションになってきますから、ルアーを食わせるのは至難の業ですが、そこを試行錯誤してどのようにアピールして食わせるのかがまたおもしろいもので、厳しいほど燃えるという方も少なくないんじゃないかなと思います。

昨シーズンに比べて今シーズンは釣行回数が激減しましたが、少ない釣行の中で数釣りができたり、シーズン最後に自信最高記録となるメモリアルフィッシュをキャッチしたりと、幸運にも恵まれたシーズンでもありました。

ハンドメイドミノーを作り始めて早三年、ようやく理想とする出来に近くなってきたとともに、釣果も比例してきたことから、改めてハンドメイドミノーの魅力をお伝えしたいと思います。

目次

ハンドメイドミノーの魅力とは

ハンドメイドミノーの一番の魅力は、やはり世界に一つしか存在しないというころですが、見た目だけではなくしっかり釣果を叩き出してくれるのも良いところです。

特に水中の動きに関しては、材料であるバルサの浮力によって市販のインジェクションミノーには中々真似のできない動きをしますし、作者のセンスによって様々な色や形が存在します。

インジェクションミノーにはない満足感

本当に良いルアーって、誰でも簡単に魚が釣れるルアーじゃなくて、釣り人が釣った感を得られる、つまり、使う人がどう満足するかが良いルアーだと思うんですよね。

なので、良いルアーは人によって様々です。

誰でも簡単に釣れるルアーはもちろんありますし、使っていて楽しいです。

ですが、自分の理想の動きをするハンドメイドミノーで魚を釣る楽しさは、お店で売っている量産品にはない満足感を得られます。

インジェクションミノーでもフックを変えたりウェイトを足したりと、拘る人は自分好みにカスタムすることがありますよね。それと似た感覚です。

反応速度が速い

トゥイッチングやジャーキング、時には静止させたりと、この操作に対しての反応速度はハンドメイドミノーの方が優れていると思っています。

ミノーというルアーは、進行方向からリップに受ける水の勢いで重心のバランスが崩れた時に傾き、ボディーの形状とバルサの浮力で元の位置に戻ろうとする動きによってまるで追われた小魚が逃げているような動きに見せているもので、樹脂製のミノーと木製のミノーでは、同じ形で同じ重さで作ったとしても、沈み方、進み方は全く異なる動きをします。

そして、一番大事なバランスを崩した後の「戻る動き」に関してはバルサミノーの方が遥かに優れていて、それほど早く巻かなくても良く泳いでくれるバルサミノーは、早い流れの中でも水中での滞在時間を長く取ることができるので、インジェクションミノーよりアピール時間を伸ばすことができます。

制作の自由度は無限大

そして、ハンドメイドミノーの凄いところは、その動きの強弱を制作の段階でコントロールすることができるというところです。

エリアでもネイティブでも、同じルアーを使い続けているとトラウトの反応は悪くなります。管理釣り場なら定期的に魚を入れ替えていますが、自然河川では魚が入れ替わるまで少なくても数年はかかります。

自分しか知らないような秘境であればそんな心配は無用ですが、入れ代わり立ち代わり人が入りみんながみんな毎日Dコンタクトを投げていればDコンタクトでは全く釣れなくなるでしょう。

特にプレッシャーの高い河川では誰もが投げる人気のルアーよりも、魚にとって見たこともないような動きをするルアーを投げる方が明らかに反応が良いことが多く、着水後にリトリーブを始めた直後にバイトするシーンも多々あります。

すべて市販のインジェクションミノーでカバーするのは結構難しいですから、極端なことをいえば、この川のこのポイントでこの魚を釣るために、ミリ単位やグラム単位で計算して作ることができるのもハンドメイドミノーの強みです。

  • 上:ハンドメイドミノー
  • 上から二番目 :SilverCreek ミノー(DIWA)
  • 上から三番目:D-コンパクト(SMITH)
  • 一番下:ハンドメイドミノー

作り手の遊び心を込めた所有欲を満たすミノー

YouTubeでも公開していますが、初夏に西瓜柄のミノーを作って遊びました。

秋には枝豆型ミノーでメモリアルフィッシュを釣っています。

スイカや枝豆といった一風変わったミノーも作ってますが、ハンドメイドミノーって釣りという遊びにちょっとしたスパイスを加えることでもっと楽しさが増すというところもあります。

もちろんリアルさを追求したミノーも作りますが、中々厳しい状況でも一風変わったルアーを使うことで状況が一変することだってあります。

これも通算300本以上のミノーを作ってきた成果で、まさに「経験に勝る知識なし」です。

ハンドメイドミノーの制作過程

ハンドメイドミノーの中身(材料)はバルサ材という木材です。

制作過程は作る人によって様々ですが、自分が思う拘りの逸品を作るために日々試行錯誤を続けた結果、三年経ってようやく完成形に近づいてきたと思っています。

この拘りのハンドメイドミノーの制作過程を少しだけ紹介します。

ミノーの中身はバルサ材という木材

このバルサ材を二枚成形し、中にバランスを取るためのウェイトと、中心にラインを結ぶラインアイ、フックを取り付けるフックアイとなる針金を挟んで貼り合わせます。

挟んだものをカッターや鑢などを使って魚の形に削っていきます。

浸水を防ぐためのコーティング

木材は水を吸ってしまうので防水加工を施す必要があり、一般的にはウレタンやセルロースセメントにディッピング(どぶ漬け)をして表面に硬い塗膜を作るところから始まります。

ウレタンは塗膜が厚いためコーティング回数が少なく済みますが、木の年輪のように一枚ずつ塗膜の上に新しい塗膜が重なっていくため、ひび割れなどが起きてしまうことがあります。

そのため、塗面を溶かしながら固まっていくことで最終的に一枚の丈夫な塗膜となるセルロースセメントを使用しています。

しかし、セルロースセメントは一度にできる塗膜がとても薄いため、バルサの表面にしっかりと硬い塗膜ができるまで何度もディッピングしていく必要があります。

途中、魚の鱗を模したアルミを張り付けたり、顔周りの制作をしながら、塗装段階に入るまでに合計で10回以上のディッピングを行います。

最も作り手の特徴が出る顔周りは特に丁寧に作りこみます。

顔周りは全て手作業。非常に細かいパーツを切り出します。

エラ周りができたら口周りを作っていきます。

塗膜が滑らかになるまでコーティングとサンディングを繰り返してやっと塗装に入ります。

塗装の方法

きれいなグラデーションを表現するには筆塗りでは不可能なので、エアブラシを使用しています。

スプレー缶などでも塗装は可能ですが、塗料の噴出量の細かい調整ができないため、塗料が無駄になってしまいます。

先にベースとなるカラーを吹いて、次に好みの色を吹いていくのですが、ベースカラーは黒・銀・白が基本で、体色については、緑・黄・赤の三色をベースに使っています。

塗装はそのままだと簡単に剥がれてしまうので、再度セルロースセメントでコーティングして仕上げに入ります。

ハンドメイドミノーは誰でも簡単に作れるのか?

非常に自分勝手な意見で恐縮ですが、美しくて動きの良いインジェクションミノーのようなクオリティーのミノーをフルハンドメイドで作るのは、誰でも簡単にとはいきません。

調理師という仕事柄、手先の器用さには自信がありますし、調理師仲間の間でもそこそこ細かい作業は得意な方ですが、それでもミノーの制作は失敗することもあります。

ですが、何度も練習すれば上手くなるので、手先の器用さに自信のある方は挑戦してみると渓流ルアーフィッシングへの引き出しが増えると思いますし、自分で作るとまでは行かなくても、ハンドメイドミノーを作っているビルダーさんから購入してみるのも良いと思います。

市販のミノーとハンドメイドミノーの釣果をを比べてみるのも結構おもしろいものです。

来シーズンも色んな事をやってみたいと思っていますが、まずは自分が作ったハンドメイドミノーを渓流ルアーフィッシングを楽しむアングラーの方々におすそ分けできれば良いと思っています。

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