渓流ベイトフィネスは、ベイトタックルを使用したルアーフィッシングのスタイルの一つで、主にトラウト(鱒)が対象魚です。
渓流ルアーフィッシングは、ルアーという疑似餌を餌のように見せることを目的とした釣り方で、渓流魚に警戒心を持たせないよう的確なキャストコントロールと静かに着水させる技術が求められます。よって、小型の軽いルアーを使用することが前提ですが、渓流では障害物が多い狭いポイントにキャストしなければならないシーンも多く、特に初心者には難しいキャストコントロールの面で、スピニングタックルよりも容易なベイトフィネスタックルを選ぶアングラーが増えています。
ベイトフィネスの主な特徴としては、以下のような点が挙げられます。
- 3~5gほどの小形のルアーをキャストするため、軽いルアーのキャストに向いているベイトフィネス用リールを使用します。
- 数㎝刻みで狙う繊細なキャストはスピニングリールよりベイトフィネス用リールが向いています。
- トラウトの繊細なバイトや複雑な川の流れの変化を感じ取れる感度はベイトフィネスリールの方が得意です。
渓流ベイトフィネスはリールの性能に依存する部分が非常に大きく、正確なキャストを行うためにはリールの選択が一つのポイントになります。
今回は、ダイワとシマノという二大メーカーが提供する渓流ベイトフィネス用リールについて、どちらが優れているかについて詳しく解説します。渓流ベイトフィネス用リールを選ぶ際に是非参考にしてみてください。
シマノとダイワのベイトフィネス用リールはどちらも非常に高性能
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結論からいうとシマノもダイワも性能は高く、渓流ベイトフィネス用リールとしてのパフォーマンスはどちらも非常に優秀です。
しかし、シマノにはシマノ、ダイワにはダイワ、それぞれの特徴があります。
もちろん、同メーカーでも機種によってキャストフィーリングや巻き感などに結構違いがあるため、渓流ベイトフィネスを楽しむ際に自分が求める基準に合わせるのが選択のポイントです。
ベイトフィネス用リールのブレーキシステムは、磁力で強弱を調整するマグネットブレーキを多く採用していますが、シマノとダイワではそのマグネットブレーキのメカニズムが大きく違います。
- シマノ独自のブレーキシステムFTB
- ダイワ独自のブレーキシステムエアブレーキ
シマノとダイワの最大の違いはブレーキシステム
ベイトリールのマグネットブレーキというものは、通常スプールと繋がっていて、その磁力の調整によってスプールの回転数を制御しています。
シマノ独自のブレーキシステム(FTB)はブレーキユニット自体がスプールが分離していて、スプールを超軽量に作ることができるため、スプールの回転性能が非常に高く、軽量ルアーを遠くへ飛ばすことができるのが最大の特徴です。
また、マグネットがユニット内で可動することで自動で強弱を調整してくれるので、トラブル回避能力に長けているとされています。
ベイトリールのスプールの回転速度はブレーキ調整により強弱を変えられるものですが、一方でダイワのエアブレーキシステムは、スプールの回転速度に合わせてインダクトローターが可動するため、よりオートマチックな制御でトラブルを回避できるといった特徴があります。
どちらも軽量ルアーをキャストする能力に優れている
ベイトフィネスに求められる性能は、軽量ルアーをストレスなくキャストできるかどうかが最大のポイントで、シマノのFTBもダイワのエアブレーキシステムも、非常に優れたブレーキシステムで、渓流域で多く使われる3~5gのルアーを難なくキャストできる優秀なベイトリールです。
渓流ベイトフィネス用リールはシマノとダイワどちらを選ぶべきか
自分がリールに何を求めるかによって選択方法は変わります。
特にベイトリールは、その構造上、慣れない内はトラブルが発生しやすいものですし、繊細で正確なキャストが求められる渓流ベイトフィネスでは、キャストコントロール性能に加えて、内部の機関がとても重要な役割を担っています。
- 飛距離
- トラブル回避能力
- 剛性
とはいっても、実際に手にして投げてみないことには感覚的な部分はわかりませんが、ダイワとシマノのベイトフィネスリールは、同じマグネットブレーキでもシステムに大きな違いがあるため、使う人のテクニックによって使用感に差が出ます。
飛距離
飛距離に関しては、使う人のテクニックによる影響が最も大きいので、一概にどちらが長けているとは言いにくい部分でもあります。ですが、渓流ベイトフィネスに必要な飛距離についてはダイワもシマノも充分な性能を持っています。
ベイトリールの構造上、飛んでいくルアーにラインが引っ張られスる力によってスプールが回転するので、ルアーの失速に合わせてスプールの回転も失速しますが、これはあくまでも重いルアーを投げた時の話であって、ベテランのアングラーが使用するような1~2gのような軽量ルアーを投げる場合、バックラッシュを軽減させるようなオートマチックなブレーキの制御機能はかえって邪魔になる場合もあります。
その点、シマノの22アルデバランBFSや、23カルカッタコンクエストBFSに搭載されている新しいFTBは、常にブレーキがかかっている状態でキャストするのが常識であったベイトリールのブレーキを、あえて0の状態に設定できるようにすることで超軽量ルアーの遠投が可能となっています。
これが何を意味するかというと、自分で細かいブレーキの調整を行う楽しさや、キャスト技術に自信があり飛距離に特化したリールを使いたい場合は、そのリールの限界の飛距離を安定して何度も出し続けることができるシマノを選択するという手もあります。
ブレーキシステムの違いで選ぶ
シマノのFTBは、より軽いルアーを遠くへ飛ばすことに特化したブレーキシステムで、ダイワのエアブレーキシステムは、飛距離も求めつつオートマチックな制御でトラブルを回避する能力を高めたブレーキシステムです。
よって、スプールの回転中の制御能力はダイワの方が長けているため、ブレーキを緩くして飛距離を出そうとすると、ロッドとのバランスやラインの種類、そしてルアーの重量次第では、ダイワよりもシマノの方がバックラッシュが発生しやすくなります。飛距離よりも安定性やトラブルレスで楽しみたいユーザーにとってはダイワを選択すると良いでしょう。
バックラッシュが発生する限界ギリギリのブレーキ設定で投げる場合の飛距離に関して言えば、スプールの回転数に応じて制御されるダイワよりも、シマノの方がキャスト後半の伸びが良いですが、その分バックラッシュなどのトラブルのリスクは高くなります。
渓流では遠投するシーンもそれほど多くなく、飛距離よりも正確に狙ったポイントにトラブルなくルアーを着水させることに集中したいユーザーにとってはダイワの方がお勧めです。
剛性と内部の機関
渓流ベイトフィネスは大きくてパワーのある魚を釣るジャンルの釣りではないので、剛性についてはそれほど気にする必要はありませんが、特にキャスト回数が多くなりがちなベイトリールにとって、ギアなどの内部の機関については、より強い素材を使って作られているものの方が、より長く使えるので安心感があります。
内部の機関についてはシマノもダイワもさほど違いはありませんが、価格が高いものほど内部の機関も丈夫な素材が使われているものが多く、剛性感以外にも巻き心地や感度などにも多少影響します。
渓流ベイトフィネスリールはダイワとシマノどっちが優れているか:まとめ
ベイトリールの性能として、トラブルの少ないダイワの方が高性能だという意見をよく耳にします。
確かに、快適に釣りを楽しみたい人とっては、トラブルが少ないリールの方が楽しいです。とはいえ、リスクを取ってでも、自分でコントロールするテクニックを磨くのも釣りの楽しさですよね。
ロッドとの相性、使用するルアーの重量やラインの種類、ターゲットの種類やサイズなどのフィールドの環境などを考慮しても、タックルに完璧な正解を導き出すことはできないのが釣りの楽しさでもあります。
ですから、最終的な結論としては、自分が良いと思って選んだリールが最も良いリールという認識で正解です。
あとは道具のスペックに、自分がどれだけ寄せられるかが釣果に反映されるものだと思っています。
今回は、シマノとダイワの両メーカーのベイトフィネスリールは、どちらが優れているのかについて解説しました。
どちらも非常に高性能で渓流ベイトフィネスを楽しむためのパフォーマンスは充分に備わっていると断言できます。
しかし、この両者のリールについては、決して似たような特徴ではなく、それぞれに違う特徴があるが故に、使う人との相性がはっきりとわかるほどの違いがあります。以上を踏まえて自分に合ったベイトフィネス用リールを見つけてほしいと思います。
シマノ
- 飛距離重視
- 価格に見合った剛性感と高級感
- 自力でキャスト調整する操作感
最長飛距離に関しては多少シマノに分がありますが、その分バックラッシュなどのトラブルが起こるリスクも高くなるので、テクニックでカバーする楽しさがあります。剛性感や高級感に関して言えば、カルカッタコンクエストBFS以外はどうしてもオモチャのような頼りなさも否めないところです。
ダイワ
- キャストコントロール性が高い
- オートマチックなキャストフィーリングでトラブル回避能力が高い
- デザインがgood
シマノはユーザーの意見よりも、極限まで尖らせた性能で使う人を選ぶ「オレについてこい!」タイプで、ダイワは釣り人のレベルに関係なく、使いやすさを重視する「一緒に釣ろうぜ!」タイプのリールが多い印象です。
あくまでも個人的な意見ですから、話半分で聞いてもらえると良いかなと思います。
キャストが苦手と感じる人にとっては、エアブレーキシステムを搭載したダイワの一択となりますが、上達するとやはり物足りなくなることもあるでしょう。デザインについては好みによりますが、ダイワが一歩進んでいるように感じます。
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