渓流ベイトフィネスを始める際、最も悩むのはリールの選択。
ルアーフィッシング全般に言えることですが、リールの選択を誤ってしまうと、その釣り自体が面白くないものになってしまうこともありますよね。
その中でも、渓流ベイトフィネスはリールの性能に依存する部分が非常に大きく、正確なキャストを行うためには、ロッドよりもリールの選択が大きなポイントになります。
今回は、釣り人ならだれでも知っている「ダイワ」と「シマノ」という二大メーカーが提供する渓流ベイトフィネス用リールについて、どちらが優れているかについて、渓流ベイトフィネス歴5年のアングラーが詳しく解説します。渓流ベイトフィネス用リールを選ぶ際に是非参考にしてみてくださいね。
シマノとダイワのベイトフィネス用リールはどちらも非常に高性能
結論から言うとシマノもダイワも性能は高く、渓流ベイトフィネス用リールとしてのパフォーマンスはどちらも非常に優秀です。
ただし、シマノにはシマノ、ダイワにはダイワ、それぞれの特徴があります。
もちろん、同メーカーでも機種によってキャストフィーリングや巻き感などに違いがあるため、渓流ベイトフィネスを楽しむ際に、自分が求める基準に合わせるのが選択のポイントです。
ベイトフィネス用リールのブレーキシステムは、磁力で強弱を調整するマグネットブレーキを多く採用していますが、シマノとダイワではそのマグネットブレーキのメカニズムが大きく違います。
- シマノ独自のブレーキシステムFTB
- ダイワ独自のブレーキシステムエアブレーキ
シマノとダイワの最大の違いはブレーキシステム
ベイトリールのマグネットブレーキというものは、通常スプールと繋がっていて、その磁力の調整によってスプールの回転数を制御しています。
シマノ独自のブレーキシステムFTB
シマノ独自のブレーキシステム(FTB)はフィネスチューンブレーキの略で、ブレーキユニット自体がスプールが分離していることが大きな特徴です。これにより、スプールを超軽量に作ることができるため、スプールの回転性能が非常に高く、軽量ルアーを遠くへ飛ばすことができるのが最大の強みです。
また、スプールの回転速度に合わせてマグネットがブレーキユニット内で可動することで、バックラッシュなどのライントラブルを防ぐ効果があります。
ダイワのエアブレーキシステム
ベイトリールのスプールの回転速度は、ブレーキ調整により強弱を変えられるものですが、ダイワのエアブレーキシステムは、スプールの回転速度に合わせてインダクトローターが可動するため、よりオートマチックな制御でトラブル回避能力に長けているという特徴があります。
どちらも軽量ルアーをキャストする能力に優れている
ベイトフィネスに求められる性能は、軽量ルアーをストレスなくキャストできるかどうかが最大のポイントで、それにはブレーキの性能が大きく関わってきます。
シマノのFTBもダイワのエアブレーキシステムも非常に優れたブレーキシステムですが、トラブル回避能力の高さはダイワに分があります。
とはいえ、どちらも渓流域で多く使われる3g前後のルアーをスムーズにキャストできる優秀なベイトリールです。
渓流ベイトフィネス用リールはシマノとダイワどちらを選ぶべきか
自分がリールに何を求めるかによって選択方法は変わります。
特にベイトリールは、その構造上、慣れない内はトラブルが発生しやすいものですし、繊細で正確なキャストが求められる渓流ベイトフィネスでは、キャストコントロール性能に加えて、内部の機関がとても重要な役割を担っています。
- 飛距離
- トラブル回避能力
- 剛性
とはいっても、実際に手にして投げてみないことには感覚的な部分はわかりませんが、ダイワとシマノのベイトフィネスリールは、同じマグネットブレーキでもシステムに大きな違いがあるため、使う人のテクニックによって使用感に差が出ます。
飛距離で選ぶ
渓流ベイトフィネスに必要な飛距離については、ダイワもシマノも充分な性能を持っています。しかし、使う人のテクニックによる影響が最も大きい部分なので、一概にどちらが長けているとは言いにくいところでもあります。
ベイトリールは飛んでいくルアーにラインが引っ張られる力によってスプールが回転し、ルアーが失速するとその力に合わせてブレーキ制御が働くことでスプールの回転も徐々に減速していきます。
ただし、これはあくまでも重いルアーを投げた時の話であって、ベテランのベイトフィネスアングラーが使用するような1~2gのような軽量ルアーを投げる場合、トラブル回避に特化したダイワのオートマチックなブレーキの制御は、かえって飛距離を制限してしまうことがあります。
その点、シマノの22アルデバランBFSや、23カルカッタコンクエストBFSに搭載されている新しいFTBは、常にブレーキがかかっている状態でキャストするのが常識であったベイトリールのブレーキを、あえて0に近い状態に設定できるようにすることで超軽量ルアーの遠投が可能となっています。
自分で細かいブレーキの調整を行う楽しさや、キャスト技術に自信があり、飛距離に特化したリールを使いたい場合は、そのリールの限界の飛距離を安定して出し続けることができるシマノを選択すると良いでしょう。
とはいえ、ブレーキ調整とライントラブルは紙一重で、ライントラブルのリスクを背負ってでも遠くへ飛ばしたいという、かなり攻め込んだブレーキ設定が必要なのがシマノのFTBです。
ブレーキシステムの違いで選ぶ
シマノのFTBは、より軽いルアーを遠くへ飛ばすことに特化したブレーキシステムで、ダイワのエアブレーキシステムは、飛距離も求めつつオートマチックな制御でトラブルを回避する能力を高めたブレーキシステムです。
スプールの回転中の制御能力はダイワの方が長けているため、ブレーキを緩くして飛距離を出そうとすると、ロッドとのバランスやラインの種類、そしてルアーの重量次第では、ダイワよりもシマノのFTBの方がバックラッシュが発生しやすくなります。
ダイワのエアブレーキシステムは、飛距離は出したいけどライントラブルも避けたい人向けのベイトリールで、超遠投ではなく、そこそこ飛ばせてトラブルレスなキャストを求めるアングラーにお勧めのブレーキシステムです。
バックラッシュが発生する限界ギリギリのブレーキ設定で投げる場合の飛距離に関して言えば、スプールの回転数に応じて制御されるダイワよりも、シマノの方がキャスト後半の伸びが良いですが、その分バックラッシュなどのトラブルのリスクは高くなります。
渓流では遠投するシーンもそれほど多くなく、飛距離よりも正確に狙ったポイントにトラブルなくルアーを着水させることに集中したいユーザーにとっては、ダイワの方がお勧めです。
剛性と内部の機関
渓流ベイトフィネスは大きくてパワーのある魚を釣るジャンルの釣りではないので、剛性についてはそれほど気にする必要はありませんが、特にキャスト回数が多くなりがちなベイトリールにとって、ギアなどの内部の機関については、より強い素材を使って作られているものの方が、より長く使えるので安心感があります。
内部の機関についてはシマノもダイワもさほど違いはありませんが、価格が高いものほど内部も丈夫な素材が使われているものが多く、剛性感以外にも巻き心地や感度などにも影響します。
渓流ベイトフィネスリールはダイワとシマノどっちが優れているか【まとめ】
ベイトリールの性能として、トラブルの少ないダイワの方が高性能だという意見をよく耳にします。
確かに、快適に釣りを楽しみたい人とっては、トラブルが少ないリールの方が優秀と感じると思います。とはいえ、リスクを取ってでも、自分でコントロールするテクニックを磨くのも釣りの楽しさですよね。
ロッドとの相性、使用するルアーの重量やラインの種類、ターゲットの種類やサイズなどのフィールドの環境などを考慮しても、タックルに完璧な正解を導き出すことはできないのが釣りの楽しさでもあります。
ですから、最終的な結論としては、自分が良いと思って選んだリールが最も良いリールという認識で正解です。
あとは道具のスペックに、自分がどれだけ寄せられるかが釣果に反映されるものだと思っています。
今回は、シマノとダイワの両メーカーのベイトフィネスリールは、どちらが優れているのかについて解説しました。
どちらも非常に高性能で、渓流ベイトフィネスを楽しむためのパフォーマンスは充分に備わっていると断言できます。
しかし、この両者のリールについては、決して似たような特徴ではなく、それぞれに違う特徴があるが故に、使う人との相性がはっきりとわかるほどの違いがあります。以上を踏まえて自分に合ったベイトフィネス用リールを見つけてほしいと思います。
シマノ
- 飛距離重視
- 価格に見合った剛性感と高級感
- 自力でキャスト調整する操作感
最長飛距離に関しては多少シマノに分がありますが、その分バックラッシュなどのトラブルが起こるリスクも高くなるので、テクニックでカバーする楽しさがあります。剛性感や高級感に関して言えば、カルカッタコンクエストBFS以外はどうしてもオモチャのような頼りなさも否めないところです。
ダイワ
- キャストコントロール性が高い
- オートマチックなキャストフィーリングでトラブル回避能力が高い
- デザインがgood
最後に
シマノはユーザーの意見よりも、極限まで尖らせた性能で使う人を選ぶ「オレについてこい!」タイプで、ダイワは釣り人のレベルに関係なく、使いやすさを重視する「一緒に釣ろうぜ!」タイプのリールが多い印象です。
あくまでも個人的な意見ですから、話半分で聞いてもらえると良いかなと思います。
キャストが苦手と感じる人にとっては、エアブレーキシステムを搭載したダイワの一択となりますが、上達するとやはり物足りなくなることもあるでしょう。デザインについては好みによりますが、ダイワが一歩進んでいるように感じます。
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