日本は世界でも有数の災害発生多発地帯です。
これほど災害が多く発生している日本でも、災害後の復興に対して非常に高い能力がある割に、個人単位では災害そのものに対しての意識はそれほど高くないように感じます。
それはいい意味で日本は平和であるという証拠だと思いますが、いざ災害が発生すると個人レベルでは何もできずにただ耐えるしかないと考える人も多く、このコロナ禍において、大きな災害が発生した場合、避難所の問題まで個人レベルで考えなければいけない時代になってきています。
そこで、2018年に経験した北海道胆振東部の経験を踏まえて、今後このコロナ禍において想定される問題を書いてみようと思います。
避難所が一番安全とは限らない
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大きな災害が発生した場合、まず第一に命を守ることが最優先されますが、何とか命は助かったとしてもそこから生き続けるための生活をしていかなければなりませんよね。
避難所に行って寝る場所や食べるものを確保したとしても、避難者が全員健康であるかなんてわかりませんし調べる余裕もないですから、たとえ安全な場所にいたとしても衛生面での安全に関しては個人レベルで対策をしなければなりません。
室内に至っても、北海道と北海道外とでは気温が全然違います。
外気温が低い北海道は暖房設備が充実していて、定期的に換気を行っていても強力な暖房ですぐに温めることができますが、それほど暖房設備が充実していない地域では換気を行えば行うほど室温が下がり、最悪の場合低体温症などのリスクも伴います。
避難所以外に安全が確保できるのならそこが一番安全
街のハザードマップを見ると近くの学校や公民館、町内会館など、たくさんの場所が緊急避難所に指定されていますが、当然人が集まるわけですから感染症のリスクは回避できません。
例えば、車の中など家族だけで安全を確保できる場所に留まるか、家が倒壊していない、または倒壊の心配がなければ家の中にいる方が数倍安全です。
2018年の胆振東部地震は地震発生時刻は深夜3時頃で、僕の住む地域は震度6を観測しており地震発生後数分で停電が発生。
家の中はガラスが割れたりして危険だったため、明るくなるまで車の中でテレビのニュースで情報を収集したり、実家や親しい知人の安否確認などをしていました。
幸い家屋の倒壊などもなく車の中は安全だった上、9月の初旬と比較的過ごしやすい季節だったことも幸いしましたが、これが真冬だったとしてもガソリンさえあれば数日は耐えることができたのではないかと思います。
備えておくと良い物
マスクや消毒用アルコールは、常に常備、携行しておく必要があります。
その他、乾電池やモバイルバッテリーなどもかなり役立つアイテムです。
ラジオなどがあると良いとよく言われますが、普段からラジオを持ち歩く人なんてそうそういないでしょうし、荷物を増やすのはそれだけ移動に負担がかかります。
極論ですが電波さえあれば携帯で十分、通話ができれば被災地以外の遠くの人に情報を提供してもらうこともできます。
そのためには携帯の充電は切らさないようにしたいものです。2日以上停電が続いたことから、モバイルバッテリーや車で携帯を充電する装備のない会社の部下達のほとんどが充電切れで安否確認すらできない状態でした。
胆振東部地震の時はSNSで市内の飲食店の炊き出し情報や、営業中の商店などの情報が数多く拡散されていて非常に助かりましたが、携帯の充電が切れていた人には届かない情報だったはずです。
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停電発生時はまず先に予備電源で営業しているコンビニに人が殺到します。その次にホームセンターやスーパーに多くの人が訪れます。
胆振東部地震の被災中にホームセンターに行った時は、まだ予備はあるけど乾電池を買いに来たという年配の方の話し声が聞こえてきました。
買い占めはいけないとわかっていても買いに来る人が必ずいます。
そして、当時一番困ったのが現金でした。
停電中は買い物をするにもレジが使えないため電卓を使用して現金での支払いしかできないところがほとんどでした。
停電中は当然ATMも使えないためお金を下すこともできませんでした。
普段、現金を持たずクレジットカードで買い物をしている人も多いと思いますが、数日間分の食料や備品を買うお金は用意しておかないとかなり危険です。
避難所には国際基準がある
避難所にはヨーロッパで始まった国際的な基準があり、必要な設備や生活環境、プライバシーを守る前提で作られています。
それに比べて日本の避難所は、学校の体育館や市民会館の会議室などで床に雑魚寝でプライバシーなんてありません。
この国際的な基準は日本の行政ですら知らない人もいて、避難所の提供者も被災者も避難所だから不便でも無料で提供してもらってるので我慢するしかないと思っているのでしょう。
中には、災害派遣で出動した自衛隊員が休憩するために自衛隊の車両で横になっていただけで被災者から非難されたという話もあり、昼夜問わず24時間体制で行方不明者の捜索を行っていたにも関わらず、休憩は全身泥だらけで座ったまま数分眼を瞑るという自衛官の画像がSNSで話題になっていました。
警察でもお坊さんでもない自衛隊が、自分の身内でもない人の生存を信じる家族のために行方不明者を探し、非難されながら遺体を見つけた時の心境を考えると、とても悲しい気持ちになります。
国民性もあることから日本の被災地や避難所問題に関しては、進展するには時間がかかると思いますし、個別で対策をしていかなければいけないほど日本は災害の多い国です。
そのためには、一人用の簡易テントなども避難所でのプライバシーを守る上で非常に役立ちますし、今後は感染症のリスクを避けることも考えていかなければなりません。
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災害時に役立つのはアウトドア用品
キャンプ好きな人はテントや炊事用品、その他ランタンなどの照明もを持っていると思いますが、災害時家の中にいるのが危険となった時に近くの公園などでテントを張って一時的な避難所を作ることができます。
どうしても外で過ごさなければならない場合はエマージェンシーシートが非常に役立ちます。
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過去に歩いて30分以上かかる釣り場でこれを被って一晩過ごしたことがありますが、気温が一桁の過酷な環境下でも寒さで苦しむことはありませんでした。
ただし、軽い素材なので風があるとめくれてしまうので、そのような場合は寝袋タイプの物が良いでしょう。
ちなみに、100円ショップなどでも購入できますが、ちょっと乱暴に扱うとコーティングが剥がれて効果が半減してしまうので、それなりの物を用意しておきたいですね。
当然のことですが、性質上気密性が高いので結露が生じます。
ですが、気密性がないと保温の効果は期待できませんし、いざという時蒸れるから嫌だとは言ってられない事態を想定しなければなりません。
究極の防災
究極の防災は、まず自分の安全を確保することだと思います。
自分さえ助かれば、後は他の人を助けるか他に助けを呼ぶかだけです。
胆振東部地震を経験して思ったのは、どんなに用心していてもどれだけ立派な防災グッズを用意していても、揺れが収まるまでは人間は無力だということです。
揺れが収まった後すぐに停電が起こるなんて大半の人が予測していなかったと思いますし、東日本大震災の犠牲者には津波による溺死の数が非常に多かったと言われています。
水害や津波対策にアウトドアブランドモンベルより |
災害直後の対策は十分でも、このコロナ禍において二次災害やその後の避難生活に関しても今後はしっかりと対策を行っていくことが究極の防災と言えるでしょう。
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