ヒグマによる人身事故多発!釣りや山菜取りで最悪の事態に遭わないためにはどのような対策をすればいいの?

2022年5月2日

今年も早くもヒグマの目撃情報が相次いでいますが、昨年札幌市で起こったヒグマによる人身事故は記憶に新しいところです。雪も融け暖かくなってくる春から夏にかけては、山菜取りや釣り、登山などに最適な季節ですが、同時にヒグマの活動も活発化する時期です。北海道のヒグマ生息数は年々増加傾向で、全道の生息数は20000頭ともいわれており、1990年の札幌圏の春クマ駆除の廃止が原因かは不明ですが、ヒグマによる人身事故はここ数年で倍増していることから、最早札幌だけの問題ではないといえるでしょう。

暖かくなってくる季節は我々人間にとっても楽しい季節ですし、クマは怖いけど山菜採りはしたいし釣りもしたいという人も多いと思います。

ヒグマは最大で400㎏以上にもなる猛獣ですから、万が一襲われれば命の保証はありませんが、しっかりと知識を持って対策をしておけば、かなりの確率で遭遇を防ぐことができます。

 

✔記事の内容

  • ヒグマに出会わないようにするにはどのような対策が必要か
  • 危険なクマの特徴
  • もしクマに出会ってしまったらどのように対処したらいいのか

 

ヒグマの活動時期

地域やその年による気候の違いによってバラつきはありますが、例年だと12~3月の冬の間に樹木の洞などに穴を掘り冬眠をします。冬眠とはいっても、仮死状態など活動を全く止めるような状態ではなく蓄えた脂肪を使いながら静かに過ごします。メスはこの期間に出産を行う個体も多く、春の活動時期までじっくり子育てを行います。

冬眠から覚めたヒグマは食べ物を探しながら山を移動しますが、力のない若いヒクマは強いヒグマに追い出され人里近くまで下りてくることもあります。この時期に人身事故が多いのは、自分のテリトリーが決まっておらず、食べ物を探しながら安全な住処を探すために移動中の若いクマに襲われるといった理由もあります。

ヒグマによる死亡事故の内訳(2000~2020年)

 

  • 山菜採り 約70%
  • きのこ採収 約15%
  • 林業を含む山林での作業 約8%
  • 釣り 8%

 

ヒグマによる人身事故は、4~6月が最も事故の多い季節となっており、次いで10月が事故の多い時期となっています。

中でも山菜採りが圧倒的に多く、近年は狩猟中の事故以外では農作業中の事故も多くなっています。

ヒグマの事故に遭う人の特徴

山菜採りはグループで入山しても単独で行動することが多く、早朝から山に入る人も多いことから、昼行性でありながらも早朝に活動するヒグマの活動時間とリンクしていることがよくわかります。また、クマ鈴などの鳴り物を携帯していない例も多数あり、危機感の低さが伺えます。

一方、釣りも単独行動が多いですが、山菜取りの人よりクマ鈴やクマ撃退スプレーの所持率は高く、危機感を持って行動している人が多いようですし、山林作業はある程度の人数で重機など音が出るものを使って作業していることから、事故が少ないといえます。

危険なクマの特徴

ヒグマは本来好奇心が旺盛な割に臆病な性質ですが、人間のように個体による性格の違いがあり、時には説明が付かない行動を取る危険なクマも存在します。

山にいられなくなった若いクマ

オスヒグマは、親離れしてすぐに行動範囲を広げます。メスのヒグマの行動範囲は数十kmですが、オスのヒグマは自分の住処を探すため、行動範囲は年間数百kmといわれています。親離れしたオスは安全な山奥に住処を探すのですが、昨今のヒグマの増加に伴い、山奥には強いオス熊が多く、危険を冒してまで山を下り安全な山を探さなければならないケースが増えているようです。昨年起きた札幌市での人身事故はまさにそのケースだったといえます。

好奇心旺盛な幼稚なクマ

独り立ちして間もない若いクマは、精神的にまだまだ幼稚で、危険なものとそうでないものを区別できない個体もいます。通常人間に逢ったクマはほとんどが自分から逃げるのですが、そのような精神的に成熟していない若いクマは、稀に自ら人間に近づくことがあるといわれています。

食べ物を所有している

ヒグマは食べ物への執着心が強く、自分の獲物を奪われることを嫌うため隠すことがあります。特にエゾシカなどを狩った場合は地面に埋めて隠すことが多いので、知らずに近づくと非常に危険です。山中で野生動物の死骸などを見つけた場合は直ちにその場から離れるようにしましょう。

ヒグマに出会わないようにするための対策

ヒグマは本来臆病な生き物で、自ら市街地へ出てくるような異常な個体でない限りは、人間の存在に気付いた時点でヒグマの方から立ち去ってくれるものですが、人間側も注意をしないと危険な場合もあるので、山中で行動する時は必ず対策を行うようにしましょう。

ヒグマの活動時間には山に入らない

早朝はヒグマが餌を探しながら活発に動く時間帯で、遭遇する確率もグンと高くなります。臆病な割に行動は大胆な個体も多く、国道脇で餌を食べたりしているのを目撃したこともありますし、墓地の中を徘徊しているのを見たこともあります。日中は暗い草藪の中でじっとしていることも多いので、無用な藪漕ぎを避け早朝や夕方には山に入らないことが大切です。

鳴り物を携帯する

クマ鈴は歩いていると勝手に音が鳴るので、ヒグマに対して人間の存在を知らせることができます。行動中に紛失してしまうこともあるので、音質の違うものを複数所持しておくといいでしょう。クマ鈴は人間の存在をクマに知らせてしまうため逆にクマを寄せることもあるという意見もありますが、確率論でいえばクマの方から退散してくれる場合が圧倒的に多いので、ゼロ百諭で判断せず山奥では必ず携帯するようにしましょう。

もしクマに出遭ってしまったら(距離別)

至近距離でヒグマと遭遇してしまった場合は、命を守る行動をしなければなりません。場合によってはクマと戦う覚悟をしなければならないこともありますが、普通の人間がクマと戦って勝てるわけはありません。

クマとの距離が縮まり、クマの方から突進しては下がるといった行動を起こした場合は、間違いなく攻撃態勢に入っている時です。

100m以上の距離がある場合

静かにしていればほとんど気付かれることはないです。物音や匂いなどで気付くことはあっても襲ってくることはないので静かにその場から立ち去りましょう。

100m以内の距離

確実に気づかれているので、目をそらさずに静かに行動を見守ります。もしこちらに近づいてくるようなら向き合ったまま同じくらいの速度で後ずさりし、相手の興味がなくなるのを待ちます。ほとんどの場合、危険がないことに気付くとクマの方から立ち去ってくれます。

50m以内の距離

かなり危険な距離ですが、リスクを負ってまで襲い掛かってくることはほとんどありません。ですが、稀に人間に対して興味を持つ若いクマもいるのは確かで、そのようなクマはかなり危険な個体なので注意が必要です。

危険なクマの特徴は以下の通りです。

 

  • 人間に向かってくる好奇心旺盛な若いクマ
  • 子熊を連れた母熊
  • 近くに餌を隠しているクマ

 

20m以内の距離

非常に危険な距離です。クマの方から近づいてくる場合は戦う準備をしなければ命を守ることができない距離です。

大声を出したり走って逃げるなどは自殺行為なので、絶対にしないよう冷静に状況を判断します。

  • 立ち木の陰に隠れる
  • クマスプレーの安全ピンを抜かず噴射の準備をする
  • 目を合わせずクマの前足の動きを見ながら静かに後ずさりする(静かに話しかけるのも効果あり)

といってもこれだけの至近距離で冷静にいられる人はほとんどいませんが、ここまでの状況下でもクマの方から逃げていくのが大半です。

10m以内

間違いなくクマの方から攻撃態勢に入る距離です。何度か威嚇しながら突進してきて、急激に方向を変えるなどの威嚇行動を繰り返し取る場合が多く、最終的にはしびれを切らして攻撃してくるか逃げていくかのどちらかになります。

クマスプレーを持っている場合は、安全ピンを抜いて構えたまま最も近くまで突進してくるまで待ちます。クマスプレーは一度外してしまうと二度と使えないだけでなく、風に吹かれるなどして自分の口や鼻から吸い込んでしまうと逃げるどころではなくなるので、確実に命中させられる5m以内に近付くまで我慢します。

いよいよ突進される距離が短くなり、前足が届きそうなほど近くまで来た場合は大声を出しながらクマの顔めがけて中身がなくなるまで噴射します。上手く顔に命中したらクマは痛さに驚いて暴れ出すので、その隙に全力で逃げます。

クマスプレーは必ずカウンターアソールトなどのヒグマ対応のものを使用します。

クマスプレーを持っていない場合は、両手を大きく広げて大声で脅かすことで運よく助かる場合があります。

襲い掛かってきた場合は、何でも良いから近くにあるものを投げつけたり、木の枝で叩いたりして抵抗するしかありません。クマから命を守るための行動マニュアルもありますが、ほとんどの場合その通りにできる人はいないでしょう。

もしクマに出遭ってしまったら(状況別)

確実に襲われてもおかしくない距離(20m以内)で遭遇した場合の状況別の対処法です。

クマの警戒音

クマは警戒心の強い生き物で、物音や気配に対し「カフ、カフ」といった警戒音を口から発します。敵とみなしたものに対しては「ファッ、ファッ」という威嚇音を出すこともあります。

警戒音を出していない内はクマもそれほど切羽詰まった状況ではないので、静かにしていれば威嚇行動はしながらも勝手に逃げていくことが多いです。

子熊を連れた母熊

冬ごもりから出てきたクマは人を襲う体力はおろか、歩くことさえも困難なほど痩せ細りやっとの思いで餌を探していますが、子熊を連れた母熊に関しては状況が全く別で、近づきすぎると確実に襲ってきます。特に子熊はいるけど母熊が見当たらない時は子熊に対して興味を持ったりせず、すぐにその場から立ち去りましょう。

餌を保有している場合

クマは独占欲が強く自分の餌に対して非常に執着心が高い生き物です。特に春先など越冬に失敗したり道路で事故死した鹿の死肉を食べている時などは、後で食べるために地面に隠すことも多く、そこに近付く者を排除する行動を取ります。山奥で異様な死臭や腐敗臭がする場合はすぐにその場から立ち去りましょう。

藪の中で寝ているクマを起こしてしまった場合

クマが隠れている藪の中に人間が入ってしまった例で、山菜採りや農作業中の事故で多い事例です。クマは早朝餌を食べた後、背の高い草藪の中に隠れて休むことが多く、農家のトウモロコシ畑の中に隠れていることもあります。むやみに草藪に入ったり見通しの悪い場所への侵入は特に注意が必要です。

もしクマに出遭ってしまったら(その他)

北海道内の山林は、ヒグマの生息域が拡大傾向にあり、ほとんどの土地でヒグマが生息しているといわれています。過去に目撃情報や事故がなくても新たに出没している場所も増えているので注意が必要です。

自宅付近でクマの目撃情報があった

民家近くに出没するクマは確実に異常なクマです。切羽詰まった状況でやむを得ず民家近くまで現れたケースや、人の近くに食べるものがあると学習してしまったクマは、山奥にいる熊に比べて人間に遭遇すると襲ってくる確率がグンと上がります。

✔近くで目撃情報があった場合の対処

  • 早朝や夜間の外出を控えるか車での移動をする
  • 食べ物や生ゴミを家の周りに置かない
  • 野菜や果物などの家庭菜園を一時撤去する
  • 定期的に草藪を伐採して常に見通しを良くしておく

 

運転中にクマを見つけた

車の中は安全ですが、むやみに近づくと攻撃してきます。後ろから追いかけてきたりボンネットに前足を掛けたりすることもあります。発見した市町村のホームページで確認して必要であれば見つけた時間や場所を詳しく報告する。

最後に

ヒグマ事故による駆除のニュースに対し、クマがかわいそうだとか保護施設に移送するなどの対処を求める声も聞かれますが、どちらも他の命をもらって生きている以上、戦わなければいけない状況はあって当然ですし強いものが弱いものを排除するのも自然な考え方です。世界的にも人間が被害を被る猛獣は駆除して絶滅させた、または数のコントロールを行ってきた過去がある中で、むしろ増えすぎた野生動物まで保護するといった考えを起こす方が異常だといえます。

幸運なことにまだ50m以内でヒグマに遭遇したことはありませんが、昔に比べて痕跡も含め山中でのクマの存在を感じる機会も体感的にかなり多くなりました。

自分で書いていて実際にこのような対処をできる自信は正直ありませんし、見通しの悪い渓流で遭遇した時は、クマスプレーの存在すら忘れ、声も出せずその場から立ち去ることもできませんでしたが、クマ鈴の音を聞いた途端クマの方から逃げていったことから、危険な距離でのクマの遭遇を防ぐことこそが最大の防御だということがよくわかりました。

もちろん渓流釣りの際はカウンターアソールトを携帯して歩いています。クマ鈴も複数身に付けて見通しの悪い場所ではうるさいほど鳴らしていますし、大声を出したり手を叩いて音を鳴らしながら進むこともあります。高いですが、本来危険が多い大自然と安全に遊ばせてもらうには必要な経費だと思っています。

自分も山に入るので人様に気を付けろといえる立場ではありませんが、クマと人間の距離が近くなってきている昨今の北海道の状況から、山中では最大限の対処をしなければクマに遭遇し事故に遭う確率が高くなるということだけはお伝えしたいと思います。

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雑談

Posted by dosankoebi