家庭を飛び出してきたのは その上目指してたから
僕がまだ子供の頃は野良犬というものが結構いて、いまでいう野犬とは違って近所を徘徊している人懐っこい飼い主のいない犬というべきでしょうか、その頃犬を飼う手段は「拾ってくる」といった方法がポピュラーだった時代でもありました。
同級生や近所の友達も拾ってきた犬を飼っていたこともあり、自分も子犬を拾ってきたのですが母親が猛反対し結局犬を飼うことはできませんでした。
犬を飼うことに反対された理由
母親に犬を拾ってきたから家で飼うといったところ、吠えるからダメだといわれたので吠えないように躾をすれば大丈夫と言い張ったのですが、お父さんに聞きなさいと母親にうまく逃げられました。
子供の頃から父親とは仲が悪く、僕は父親のことが大嫌いで父親も僕のことが大嫌いと思っていたので、僕が父親に相談するわけないと母親が悟ったのでしょう。
案の定父親に相談することなく数日間外の物置で隠れて買っていたのがバレて父親からの鉄拳制裁を喰らい犬を飼うことを断念。
犬がダメなら猫はどうなの?
数日後母親に猫はダメかと聞いたところ、猫は臭いからダメだと。
何をもって臭いと?
犬も猫もウンコはするし、母親は元アイドルだからウンコはしないかもしれないけど人間だってウンコするでしょ?
※母親は元アイドルでもなんでもなく元和菓子職人の娘です(笑)
吠えず臭くない動物を飼うことにした
小学生も高学年になると行動範囲も広くなり、熊の出る山の中までいって釣りをしたりするようになりました。
夏休み中のある日、釣りの帰りに大きなアオダイショウを見つけたので自転車のカゴに入れて持ち帰ろうとしましたが、1mくらいあるヘビは当然じっとしているわけもなく何度もカゴから飛び出して逃走を図ります。
何度も何度も逃げて捕まえてを繰り返しやっと山から出て市街地の交番の前まで来たところでまた逃げ出そうとカゴから飛び出したアオダイショウを捕まえるために自転車を放り出してアオダイショウを追いかけます。
すると交番からお巡りさんが二人出てきました。
お巡りさん「転んだの?大丈夫かい?」
声をかけてきたお巡りさんは心配そうにしていたものの、その視線は僕の顔ではなく捕まえたアオダイショウに向かっています。
悪いことをしている自覚はありませんがお巡りさんに話しかけられるのはあまりいい気分ではなく、犬や猫を飼うことを許されなかった少年の儚い思いを正直に打ち明けました。
半べそかきながら熱弁する少年を不憫に思ったのか、もう一人のお巡りさんが大きなビニール袋を持ってきてくれました。
ヘビを袋に入れお巡りさんにお礼をいってすぐに帰宅し、母親にヘビを見せると発狂していました。
当然ですが、ヘビを飼うことも許されず次の日に捕まえた場所に行って放してきました。
動物を飼うことは責任重大である
10代も後半になると家にいることが嫌でしょっちゅう家出ばかりしていましたが、半年ぶりに家に帰ると子犬がいました。
弟が拾ってきたんだとか。
親父がオスだというから母親もオスなら良いと許したそうです。
しかし、どう見てもメスですし自分が犬を飼いたいといった時にはダメだとお言われたのに弟は良いのか?
世の中は矛盾で成り立っています。たとえそれが血のつながった親子でも。
やはり親父は自分のことが嫌いだったんだと変に納得してしまいました。
子犬はかわいいですが、もう家にいる理由なんてないと自ら家を出ました。
まとまった金を貯め
ひとり街飛び出してゆくことが
新しい夢の中 歩いてゆくことだから
でも 寂しそうに
見送りに立ち尽くす母親にさえ
さよならが 言えずじまいでアクセル踏み込んでた
そんな美談で片づけられるような話ではなく、親父とは一言も話すことなく何も持たずに勢いだけで飛び出してきたわけです。
ちょうど二十歳になったばかりの頃でした。
親元を離れてからは、ウサギ、ハムスター、インコ、メダカ、熱帯魚、カメ、プレーリードッグとたくさんの動物を飼いました。
どれもすごく大変でしたが、インコは13歳、プレーリードッグは11歳までと大往生でした。
長く生きた分亡くなった時の悲しみはとても大きかったですが、これからも自分が元気な内は色んな動物を飼うと思います。
色んな生き物に囲まれて自由に生きてきた自分ですが、子供の頃あれほど飼いたがっていた犬を何故飼わなかったのかというと?
実は、犬猫アレルギーなんです(笑)