ミノーの自作をしていて悩むのがフックサイズ。
フックのサイズ選びって、ミノーが小型になればなるほど難しくなるんですよね。
自作のミノーに合うシングルフックを色々と検索していて気付いたのが、ミノーのフックはトリプルフック(トレブルフック)のままの人が多いことです。
市販のミノーはほとんどがトリプルフックが付いているので、そのまま使っているという理由が大半だと思います。
渓流ルアーフィッシングを始めた頃は、買った時についていたトリプルフックをそのまま使っていましたが、一か月で全てシングルフックに交換しました。
この記事では、筆者がトリプルフックではなくシングルフックを使っている理由と、その効果を解説していきます。
渓流トラウトミノーをトリプルフックからシングルフックに交換する効果とは
まずは、シングルフックに変更したトラウトミノーの使用感についてお伝えします。
トリプルフックからシングルフックに変更したことで、バイト時のフッキング率が大幅に向上しました。特に、トリプルフックと比較すると、しっかりと掛かる確率が高くなったと感じています。
しかし、バラシが完全になくなるわけではなく、「軽減される」という表現が合っていると思います。
両方を使い比べた結果、バラシそのものの有無ではなく、「バレるタイミング」に違いがあることが分かりました。
フックの種類によるバラシ方の違い
トリプルフックからシングルフックに変更したことで、フッキング時のバラシが大幅に減少しました。
しかし、シングルフックは、ファイト中やランディング時に魚が激しく暴れるなどしてラインテンションが抜けた際には、バラしてしまうことが増えました。
ニジマスやブラウントラウトのように、ファイト中に激しくジャンプする魚は、特にラインテンションが抜けやすく、結果的にバレる確率が上がります。
あくまで推測の範囲ですが、トリプルフックの場合、三本のうちの一本が魚の口に掛かり、残りの針は口周辺の表皮に刺さるか、針先が軽く引っかかっている 状態になっていることが多いと考えられます。そのため、もし口に掛かっている針が外れたとしても、その反動で他の針が魚の口や体のどこかに刺さり、結果的にバラシを防いでいるのかもしれません。
一方、シングルフックは一本の針のみでフッキングしているため、掛かりどころが悪かったり、テンションが抜けたりすると、針が外れた瞬間に魚が逃げてしまう 確率が高くなります。対照的に、トリプルフックでは、たとえメインの針が外れても、残りの二本がアシストし、バラシを防いでいると考えられます。
フックの種類に関係なくバレる原因
どちらのフックにも共通して言えることですが、強引なやり取りをするとバラしてしまうことがあります。
これは「口切れ」と呼ばれる現象が原因と考えられます。フックが唇などの薄い皮一枚に掛かっている場合や、口の中にしっかり刺さっていても、魚が暴れた際に傷口が広がったり、切れたりすることで針が外れてしまうことがあります。
特に、小型のトラウトがバレやすいと感じた経験がある人も多いと思いますが、これは未成熟なトラウトの口が柔らかいためです。
これについては、ロッドのパワーとドラグの調整、さらに使用するラインの種類などでカバーできるため、大きな問題にはなりません。
PEラインの場合はリーダーにフロロカーボンではなくナイロンラインを使うなどして対処できます。
シングルフックとトリプルフックのキャッチ率の違い
トリプルフックはバイト時のフッキングに課題がありますが、シングルフックはフッキング後のランディング時にバラすことが多い傾向があるので、ロッドワークとドラグ調整でバラシをかなり軽減できます。
したがって、総合的な確率を考えると、シングルフックの方がバラシの確率は低いと感じています。
魚体へのダメージを極力減らしたい
口に針を刺して魚を捕まえる残酷な遊びをしておいていうのも何ですが、食べるつもりがないのであればできるだけ元気に返してあげたいと考えるのが釣り人の務めだと思っています。
トリプルフックとシングルフックが与える渓流魚へのダメージの差
トリプルフック(トレブルフック)は名前の通り一本の軸に針が三本ついているので、そのうちの一本が口に掛かった際に他の二本はどうなっているのかというと、どこにも掛からないでいる場合と口以外に掛かっている場合が大半です。
活性が低いトラウトや擦れたトラウトは口以外に掛かることが多い
よほど活性がよくルアーを丸飲みするほどの勢いで食ってくるような場合は、フックは二本ないし三本とも口の中にうまく掛かってくれることは稀にありますが、実際にそういったシーンはあまり多くはありません。
では、口以外に掛かる場合どこに掛かることが多いのかというと、トリプルフックの場合は眼だったり鰓蓋だったり、酷い時はフロントフックは口に掛かってもリアフックが肛門に刺さってることもあります。これはシングルフックだと、まず起こらない現象です。
魚にとっての急所はエラと肛門付近
どの動物にもいえることですが、内臓が詰まっているお腹付近は生き物にとって最大の弱点ですから、肛門にフックが刺さってしまえば内臓にダメージを与えてしまう可能性もあるし、エラ付近に掛かってしまい激しく出血させてしまえば高確率でその魚は死んでしまう。
時にはミスバイトだったり食い気が微妙で口を使わず、ルアーにまとわりついてくるような場合、口以外に掛かるスレ掛かりも多くなります。
自分は魚を狩るのではなく釣るために行くので、口以外に掛かった場合は釣ったことにしていません。
フックのバーブレス化について
理想はバーブレスフックで魚へのダメージを最低限に止めたいところです。
しかし、バーブレスフックは、バーブ(返し)がないため、魚がバレる確率が大幅に上がります。これについてもテクニックでカバーできるところではありますが、川では流れの速さや障害物などの影響でラインテンションを一定にかけ続けることが非常に難しいため、ふとした時にテンションが抜けてしまうことが多々あります。
魚を釣りに行っているのですから、釣れないで終わるよりも一匹でも釣れた方が良いと思う人の方が大半ですから、個人的な意見としては無理してバーブレスフックにして悔しい思いだけして脱渓する必要はないと思っています。
ただ、同じバーブ付きのフックでもマイクロバーブといって、非常に小さい返しが付いたフックもあるので、確実に釣りたいけど魚へのダメージも抑えたいと思う方は、ヴァンフックなどのマイクロバーブのフックがお勧めです。キャッチ率は普通のバーブ付きのフックとほとんど変わらず、ランディングネットにも引っかかりにくいので、かなり使いやすいフックです。
渓流トラウトミノーをシングルフック化したことで起こるメリットやデメリット
ミノーをシングルフック化したことによるメリットやデメリットについて、一般的に言われている内容を書いてみようと思います。
(デメリット)バラシやフッキングミスが多くなる
針が三本から一本になるのでフッキングの確率は下がるというのはなんとなくわかるような気もしますが、実際にバラシが多くなったかというとあまり変わらないような気がします。
トリプルフックを使用していた最初の頃からバラシは多々あったのでそう感じていないだけかもしれません。
フッキング率は下がるけどバラシの確率も下がるという人も多いので、魚を掛けた後のロッド操作など技術的な要素も強いと思います。
(デメリット)ルアーが軽量化され本来の動きが損なわれる
トリプルフックはシングルフックに比べて重量があるため、重力によって下にミノーを引っ張る力が強くなります。
船と一緒で、重心が下方にあればあるほどボディーが安定するのは皆さんご存じだと思います。
実際に流れのはやい瀬などでは、シングルフックよりもトリプルフックの方が、ミノーの泳ぎは安定していることが多いです。
人によってはルアーの動きが緩慢になったとかシンキングなのに浮いてしまうとか、それぞれの得意な釣り方次第では、シングルフック化したことによる弊害は出ることがあるかもしれません。
使ったことがある人ならわかると思いますが、バルサミノーの激しい動きは時には魚が追いきれずフッキングまで持って行けないシーンが多々あり、もう少しおとなしくても良いんだよなと思うこともあります。
バルサミノーの激しすぎる動きに対して、シングルフックを使うことでわざと動きを緩慢にさせるメリットは大きいと思います。
シマノの新作ミノー(カーディフリフレイン)は、フックの重量が軽いと、ルアーの動きが緩慢になりがちなシングルフックでの使用を前提に設計されたミノーで、シングルフックが最初から装着されていますが、トリプルフックでの使用も問題ないそうです。
(デメリット)フックサイズの選択が難しい&入手がやや困難
釣具店に置いているシングルフックのサイズは、大抵#6より上が多く、メーカーにもよりますが、#6のシングルフックだと一般的に多く使われる50mm前後のミノーでは、フロントフックとリアフックが干渉してしまうことが多くなります。
釣具店に行って見つけた時は買うようにしていますが、あまり多く生産されていないようで、かなり品揃えの多いお店でも見つけるのが困難なほど希少なフックのサイズです。
フッによっては不意の大物が掛かった時はフックが折れたり伸ばされることもあるので、太軸のフックがお勧めです。
特にショートシャンクのヴァンフックは、大きめのフックが使えるのがありがたいですね。
(メリット)フックを外すのが楽
トリプルフックだと魚が暴れるたびに他の針が魚体に掛かってしまったり、ランディングネットに掛かってしまい外すのに苦労したりすることも多かったですが、シングルフック化にすることで割とスムーズにフックを外すことができます。
また、フックを外す際はどうしても魚が暴れてしまうので自分の手にフックが刺さってしまうことも多かったトリプルフックですが、シングルフック化したことにより自分の手に刺さることはほとんどなくなりました。
もちろん慣れもあるので「トリプルフックでも困らないよ」という人もいると思います。
※フックを外す際は、素手では行わずフォーセップなどを使用すると思わぬ事故を防ぐことができます。
(メリット)魚体へのダメージは確実に抑えられている
トリプルフックを使用していた時に起こっていたスレ掛かりが、シングルフック化したことによりかなり少なくなりました。
スレ掛かりというよりも口以外に魚が掛かることがなくなったという方が正しいかもしれません。
魚は意外と丈夫な生き物ですが、淡水魚は表皮に傷がつくとそこから雑菌が入り水カビが発生してしまうことがあります。傷によって体力が落ちると、繁殖に参加できないだけでなく捕食すらもできずに越冬に失敗して死んでしまうこともあります。
トラウト類はなるべく水から出さず、素手で触らないとか手を濡らして冷やしてから触るといわれる所以はそこにあります。
リリースするまでの魚の扱い方によって、リリース時に逃げるスピードが全然違うので、結果的に魚の体力温存にも繋がっていると思います。
渓流で使用するトラウト用のミノーにシングルフックを使う理由について「まとめ」
今回は、渓流で使用するトラウト用のミノーにシングルフックを使う理由について独自の見解を交えて解説しました。
結論としては、シングルフックとトリプルフックのどちらが良いかは、人によって異なるということになりますが、シングルフック化することのメリットやデメリットについて、そしてバーブレスフックについても触れてみました。
さらに、渓流で使用するトラウト用のミノーをシングルフック化する際には、フックサイズの選択が難しくなる点や入手が困難な場合もあります。
一般的な釣具店ではシングルフックのサイズが限られていることが多く、小型のミノーや特定のサイズに合ったフックを見つけるのが難しいですが、楽天市場やAmazon
などの大手ネットショップの専門店で時々入荷することがあるので、見つけ次第購入しておくことをお勧めします。
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