料理人の修行って時間の無駄なの?

手に職を付けておけば食いっぱぐれることはないと言われたのが遠い過去のように聞こえるようになった昨今。

憎きコロナウイルスのせいで飲食業界も苦しい状況に立たされているわけですが、元々飲食業自体が利益率が低い業態なので全てコロナウィルスだけのせいではないと思いますよ。

冒頭から話が脱線してしまいましたが、今回は料理人の修行の話です。

料理人になるためには

皿洗いや掃除などの雑用から始まり、何十年も修行してやっと一人前になるのが普通だと仰る偉い料理人の先生もいますが、それは高級ホテルや芸能人がお忍びでやってくるような割烹屋など一流のお店の話で、一流と言われる人間がいるのは他に二流や三流の料理人がいるからであって、全てが一流の料理人であったとしたら一流という言葉は生まれないわけです。

自分はというと?

まあ、三流とそれ以下の間くらいとでも言っておきましょうか。

料理人への道といっても色々あって、学校へ進学せずいきなり調理場に飛び込む先月まで中学生だったような子もいれば、スーツにネクタイで仕事をしていた中年ビジネスマンのような人が汗水垂らして切磋琢磨しているような現場もありますね。

どちらが良いとか悪いとかではありません。

情熱と根性があればなんとかなる世界ですから。

寿司職人の修行は時間の無駄?

親方が仕事を教えてくれないのは弟子に追い越されると自分の立場が危うくなるから。

ちょっと勉強して海外に店を出せば誰でも儲かるのに長い時間修行するのは時間の無駄でしかない、問題なのは職人としてのセンスで、何年も修行するのはバカだとかつて某ホリエモンが言っていましたが、確かに一理あるかもしれません。

とはいえ、料理学校で数か月勉強した料理人に何ができましょう?

外国人相手ならある程度騙せるかもしれませんが、商売は騙すことではありません。

寿司職人は寿司を握ることが仕事ですから寿司が握られるようになれば一人前なのですが、教えたことを数カ月でできるようになる人もいれば、何年経ってもまともにできない人もいるんですよね。

かつて教えてきた後輩は5年経ってもまともに寿司を握ることができず、自分ではこれが正しいと勘違いしていた若い衆がいましたが、教えても教えても上達しないどころか他の仕事もまともにできず言うことを聞かなくなりこれ以上教えるのは無駄だと思えるような後輩でした。

そのような人材は共通して「親方の仕事を見ていない」ところにあります。

確かに上司や会社のやり方にも問題はありますが、大した仕事もできないまま現場の一線に立たされるもんだから、先輩の仕事を見る余裕なんてなくどうしても自己流になってくることが多く、年齢と経験を重ねるにつれて自分の勘違いに気付かないままドヤ顔して寿司を握るようになるんです。

職人の世界は親方を見て自分で仕事を覚えるのが当たり前だというところにも納得できると思います。

ホリエモンのいう修行が無駄でセンスが大事だというところの本質は、もしかしたらこういうところにあるのかもしれませんが、センスのある人はわざわざ長い時間をかけてやっと一人前になれるような職種を選ぶことはないのかもしれませんね。

長い間修行することの意味

日本には「おもてなし」の心があります。

海外ならクオリティの低い料理でも通用するという理論は騙す行為だと思っています。

人の手が加わって初めて商品となる飲食業はある意味技術を売る仕事ですから、技術と売値のバランスが悪ければ騙すことと何ら変わりはありません。

人を騙して商売するということは、料理の質を下げるどころか業界全体の評価すらも下げてしまうってもんですよ。

そこを理解するまでの期間は数カ月では到底会得できるものではありませんし、商売の知識と職人としての技術の両方を同時に覚えていく必要がありますからね。

長時間修行してきた苦労人は主に二通りに分かれます。

  • 自分が苦労してきた世界をナメてもらっては困る。
  • 自分が苦労してきた世界だからこそ後輩には効率よく早く一人前になってもらいたい。

苦労して覚えた仕事を簡単に思わないでほしいと思うのは、やはり苦労してきた人にしかわからない感情ですし、そんな簡単なことではないですから同じように苦労して頑張らなければ一人前にはなれない厳しい世界ですし、自分が苦労して時には回り道をしてきたこともあったので、これからの人はもっと効率よく早い段階で活躍できるようになってほしいと思う職人もいます。

しかし、中には自分のことしか考えずまともに仕事も教えないまま若い衆を何年も修行と総じた雑用係にしてしまう職人もいて、そのような人間に「おもてなし」の心なんてないですから客のことなんて考える余裕なんてなく、料理の出来栄えはもちろん、仕入れから商品開発、原価計算から利益率も含めて、全てにおいていい加減な仕事になっています。

だから一線で活躍できるような優秀な人材までも雑用として使うんですよ。

そして、コミュニケーションや指導力などの人間力が必要な面で、最終的には周りに付いてくる人が誰もいなくなったという現象が起こってしまいます。

これが飲食業界の離職率の高さの要因の一つにもなっていると考えられ、修行することの意味を理解できないまま業界を離れていく人も多いと思います。

そもそも飲食業界自体が魅力的な業界ではない

修行といえば飲食業界ってイメージが多いと思いますが、職人と呼ばれる仕事は何も飲食業界だけではありません。

隣の芝生は青く見えるのでしょうが、同じ長い期間修行するのであれば建築やものづくりといった業種の方が魅力的だと個人的には思います。

それは、飲食業界への参入障壁が低すぎるところにあり、アルバイトでもなんでも二年間食べ物を扱う仕事に従事さえしていれば調理師免許を取得する権利を得ることができるのです。

ホテルなどで下積みをしなくてもファストフードや吉牛で二年間働けば試験を受けることができるのです。

それどころか、調理師免許を持っていなくても職人として雇っている企業も多く、調理師と同じ待遇で雇用しているのが現状ですから、現役の調理師としては他が魅力的な業種に見えるのは当然です。

今後世界の情勢次第では好転する可能性もある

新型コロナウイルスの影響で軒並み飲食店が廃業に追いやられているのが現状ですが、コロナウィルスが終息もしくはインフルエンザと同等の扱いに変わった時には飲食店の開業ラッシュが始まる可能性もあると考えられます。

新しい生活様式などの関係で今の飲食店とは違った条件になることは否定できませんが、これらの条件をクリアした時点で大きな利益を出すことができる可能性は十分にあると思っていますし、今の時点で志を持って修行中の身にある人にとっては無限大の可能性を秘めている業種でもありますから、また違った意味で長い期間修行することの意味を理解できる日が来ると思っています。

そうなる日が来ることを信じて修行していればいつか報われる日が来るかもしれません。

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