渓流ルアーといえば、「小さいほど釣れる」と思っていませんか?
実際、50㎜前後を基準に、それよりも小さいルアーを好んで使う人は多いと思います。
食いが渋いと感じればサイズを落とす。
これは一つのセオリーとして間違いではありません。
私は「WAYA-craft」としてハンドメイドのバルサミノーを製作していますが、6年間ルアーを作り続けてきた中で、ひとつ強く感じていることがあります。
「サイズを落とさないと釣れない」というのは、半分正解で半分間違いです。
結論
ルアーで重要なのはサイズではなく、**“動きの質”**です。
そしてその動きは、サイズ以上に“素材”によって大きく変わります。
トラウトがルアーで釣れる理由は二つ
トラウトがルアーで釣れる理由は主に以下の二つ。
- 捕食目的
- 威嚇行動
捕食が目的の場合は、ルアーサイズを下げた方が喰いやすいです。
しかし、自分のテリトリーに侵入してくる魚に対して追い払う威嚇行動、いわゆるリアクションバイトで喰わせるの場合は、小さいルアーが正解とはなりません。
なぜなら、サイズが小さいと外敵と認識されにくいからです。
なぜ小型ルアーが有利と言われるのか
一般的に小型ルアーが有利とされる理由はシンプルです。
- シルエットが小さい
- プレッシャーを与えにくい
- 食わせやすい
特に渓流のようなクリアウォーターでは、この考え方は理にかなっています。
ただしここには一つ、見落とされがちなポイントがあります。
それは、「小さいから釣れる」のではなく、“小さくすることで動きが良くなっている”可能性があるということです。
小さいルアーの動き
ウォブリングアクションを例にして、片側に振ったボディが元に戻る動きを一回転とします。
この回転の速さは、ルアーサイズが大きいほどゆっくりとなり、小さいほど早くなります。
つまり、同じ距離でルアーを引いたときに、小型のルアーの方がアクションの回数が多くなるということです。

バルサミノーがサイズを落とさなくても成立する理由
バルサ材は比重が軽く、水の抵抗を受けやすい素材です。
そのため、ルアーが水をしっかり掴み、自然とアクションの回転数が上がります。
結果として、
- 小刻みでキレのある動き
- 水に馴染むナチュラルなアクション
が、サイズを落とさなくても成立します。
つまり、
「小さくしないと出せない動き」が、バルサではサイズそのままで出せるということです。
これは、ルアーのサイズが上がれば上がるほど違いが顕著になっていきます。
アクションの早さだけで言えばバイブレーションの方が早いということになりますが、バイブレーションは一般的なミノーとは違って、その振り幅はミノーほど大きくありません。
プラスチックルアーとの違い
一方で、一般的なプラスチック製ルアーは比重が重く、同じサイズ・形状では動きが鈍くなりがちです。
そのため、
- サイズを落とす
- ボディを薄くする
といった工夫で、アクションのキレや回転数を補っています。
ただし、渓流で使用する場合、ボディの肉を薄くしすぎると、割れてしまい使い物にならなくなります。
このあたりは、ウェイト調整だけでは解決しきれない領域です。
結局どのサイズを選べば良いの?
ルアーの動きは、サイズと重さに密接な関係性があります。
結論から言うと、WAYA-craftでは50~60㎜程度のルアーが最も適切なルアーサイズだと思っています。
もちろん、釣れる魚のサイズや、川の大きさによっても選択の幅は広がります。
サイズの割に重いルアー
サイズの割に重いルアーは浮力が足りず、フォールではユラユラと魅力的な沈下姿勢を取りますが、リトリーブに関してはややアピール度が下がります。
ただし、リトリーブで動かないことが悪いということではなくて、トゥイッチングの際にしっかりアピールできるなどのメリットも大きいです。
サイズの割に軽いルアー
一方で、サイズの割に軽いルアーは、流れに乗ってしっかり水を噛んでいるときはかなり激しくアピールしますが、流れの強弱やリトリーブのスピードによりその動きが破綻してしまった場合は、水面から飛び出してしまうことがあります。
また、フォール中は流れに乗ってしまうため、狙いたいポイントから外れてしまうことも増えてしまいます。
実例:WAYA-craft 53SS MW

例として、WAYA-craft 53SS MW。

全長は約53㎜ですが、ボディは厚みがあり、いわゆる“マッチョ系”のシルエットをしています。
一般的に考えれば、このサイズ感とボリュームでは動きが鈍くなると思われがちです。
ですが、このルアーは違います。
バルサ素材特有の比重の軽さによって、水をしっかり受け、小刻みでキレのあるアクションを生み出します。
もしこれと同じ形状をプラスチックで再現した場合、動きは重くなり、アピール力の弱いルアーになるでしょう。
実際の動きは、以下の動画で確認できます。
サイズを落とさないメリット
ルアーサイズを無理に小さくしないことで、得られるメリットもあります。
- アピール力が高い
- 流れの中でも存在感を出せる
- 良型の反応が良くなる
- 視認性が上がる
特に流れの強いポイントでは、「見つけてもらう力」は無視できません。
魚種による違いもあり

ヤマメは警戒心が強い割に気が強く、攻撃性の高い個体が多いため、自分の体の大きさに見合わないサイズのルアーにも果敢にアタックしてくることが多いです。

イワナはヤマメほど警戒心が高くなく、気まぐれな個体が多いため、ルアーのサイズに関係なく喰ってくる個体が多いです。

ニジマスは大型でも好んで昆虫を捕食している個体も多いため、小型のルアーに好反応を示すことも多いですが、大型のルアーに好反応を示すこともあります。

魚食性の強いことで知られるブラウントラウトは、ルアーサイズに関係なく貪欲にアタックしてきます。
まとめ

「小さいルアーの方が釣れる」という考えは間違いではありません。
ただしそれは、あくまで一つの手段です。
ルアーの本質はサイズではなく“動き”。
- どのように浮くのか
- どのように沈むのか
そしてその動きは、素材によって大きく変わります。
サイズに縛られず、動きという視点でルアーを選ぶことで、渓流ルアーフィッシングの幅は確実に広がりますよ。
WAYA-craftは、この考えをもとにルアーを作り続けています。










コメント